普段、クリニックで妊産婦さんのリハビリをしていても
子育て世代の友人と話していてもよく聞かれるのが、
「骨盤ベルトってやっぱりつけるべきだよね?」
という質問。
以前、Instagram、Twitterでそのアンサーを
投稿したところ、反応を多くいただいたので・・・
きっと多くのママが悩むところなんだろうな、と。
施術者としてアドバイスできる人が増えると
多くのママの力になれるはず!と思ったので、
今日は、骨盤ベルトに関する論文をまとめました!
最後までお読みいただけると嬉しいです✦ฺ
妊産婦さん向けの骨盤ベルトってどんなの?
日本では、
「産後の骨盤ケアをして骨盤ベルトをつける」
という考えが浸透しています。
でも多くの方が、つける理由は
「産後は骨盤が開くからそれを閉めるためにつける」
という間違った知識。
なので、骨盤ベルトと言っても
めちゃくちゃいろんな種類の商品があります。
(海外の方から見るとびっくりするようです)
例えばこんなのがあります。
知っておきたい!
\【腹帯】について/
ちなみに、昔ながらの「腹帯」もつける風習がありますが、腹帯は「固定」というよりも妊娠中に大きくなったお腹を下から「持ち上げる」というイメージで使います。
子宮の増大で引き伸ばされた腹筋や子宮を支え得ている靭帯の伸張が緩和される、という点で楽に感じますが、骨盤帯の支持としては効果は期待できません。
【結論】骨盤ベルトは有効?
日本・海外の論文をいくつか読んだ結果…
妊娠中、出産後ともに適切な方法で使用すれば疲労や痛みの軽減が図れる
という結果の論文がほとんどでした。
研究に使用している骨盤ベルトの種類も
研究の方法もばらつきがありますが、
「全く有効性はない」
とした研究の方が少数でした。
妊娠中は長期の使用を勧めている
いくつかの文献で、
骨盤ベルトの使用期間について
「妊娠の診断が出てから出産後」や
「妊娠中からの長期的な使用」と
記載されており、妊娠期間中の長期使用が
より有効であるとしている研究がありました。
その理由についてこう考えます。
妊娠中の腰痛は、
●姿勢由来の腰痛
●骨盤帯の不安定性による腰痛
に分類されます。
● 姿勢由来の腰痛は、
子宮の増大に伴う姿勢変化で、個人差はありますがsway back posture や腰椎前弯姿勢を呈しやすいです。
● 骨盤帯の不安定さによる腰痛は、
妊娠中に分泌される「リラキシンホルモン」や女性ホルモンの分泌の変化によって起こり、仙腸関節を主として関節の可動性が増すことで疼痛が生じるとされています。
↓詳しくはコチラの記事をご参照ください↓
リラキシンホルモンは、産後数日間。
女性ホルモンのプロゲステロンは胎盤排出まで。
骨盤帯を緩めるホルモンとして放出されます。
妊娠中〜産後数日間はホルモンの影響を
受けやすいため「妊娠中からの長期使用」が
有効であるという結果であったと考えられます。
産後は1ヶ月程度の使用
骨盤帯の支持性を高めるという目的で使用する場合、
出産後、数日間放出されるホルモンの影響を考慮すると
産後数日以内まで、と考えられますが、、
分娩による筋肉や靭帯の疲労や損傷の可能性を考えると
産褥期【産後1ヶ月】は、骨盤支持の持続の必要がある
とされています。
骨盤ベルトだけでOK?
いくつかの研究を比べてみても、
骨盤ベルトは、骨盤の支持性に関与する
仙腸関節痛の改善はあるが、恥骨結合部痛は非改善
装具単独では骨盤の安定は図れるが、周囲の筋肉に対する効果が得られない。装具は腰痛には効果が期待できるが、骨盤痛には補完的に使用することが望ましいと考える。
と結果にはばらつきがありました。
いずれも、
適切な方法で使用すればという前提であることから
産後のケアアイテムとして
ただ「骨盤ベルトを使う」のではなく
適切な方法の指導
疼痛がある場合の運動・動作指導
など、産前産後には施術者の介入が
やっぱり必要だな〜と。。
最後に、
今回ご紹介した研究・報告を載っけます!
1、妊娠に関連した腰痛と骨盤痛への 介入方法における国外文献の検討
分かりやすくまとめられていますー!
日本語なので読みやすいです。
https://core.ac.uk/download/pdf/234573619.pdf
2、妊産褥婦における骨盤支持の目的と方法 および効用に関する文献検討
日本の文献を集めたものです。
3、The effects of pelvic belt use on pelvic alignment during and after pregnancy: a prospective longitudinal cohort study
英語です。
骨盤ベルトをつけてアライメント変化があるのか?について書かれています。
4、Effectiveness of maternity support belts in reducing low back pain during pregnancy: a review
全文は読めていないのですがコチラも。
5、The effects of a pelvic belt on trunk and lower extremity muscles in the bridge position
これは、ストロークラボさんの解説がわかりやすいのでリンク下段にそれも貼っておきます!
<ストロークラボ様>
6、The Effect of Maternity Support Garments on Alleviation of Pains and Discomforts during Pregnancy: A Systematic Review
骨盤ベルトの種類別に解説されています。
以前、妊婦さんの骨盤帯痛に関する記事も
書いているのでご興味のある方は
コチラも読んでいただけると嬉しいです♡
今日もここまでお読みいただきありがとうございました!