今日は
「分娩時に骨盤がどんな動きをするのか」
についてお話ししていきます♡
分娩時に、骨盤がどれくらい可動するのか
どんな動きを知っておくことで
妊婦さんにどんな運動を指導するのか
産後のママの身体の見方、評価
が変わってくるのでしっかり抑えておきましょーっ!
動きのメインは仙腸関節と恥骨結合
骨盤の関節といえばこの2つ。
と言っても、よくイメージされがちな
「骨盤がガバッと開く」は間違えです。
そもそも、
どちらも関節としての可動性はわずか。
妊娠中、出産時には
プロゲステロンやHCGホルモン、
リラキシンホルモンの影響で関節の可動性は
非妊娠時と比べ増します。
と言っても、
加齢、拘縮などで関節の動きが制限されてしまう
パターンもあるので「出産=骨盤が開く」の
絶対認識は危険です。
恥骨結合はどう動く?
非常にわずかな滑り+離開のみです。
恥骨結合距離は、通常2~3mm。
分娩時には赤ちゃんが通過するため開き、
分娩直後には7~8mmと離開しています。
この開きは数日で元に戻ります。
恥骨結合距離が12mm以上開くと激痛です。
これを恥骨結合離開といいます。
以下の記事にまとめているのご参照を✦ฺ
恥骨結合離開、恥骨痛について
仙腸関節はどう動く?
仙腸関節は分娩の進行具合によって動き方が変わります。面白いですよね!
<1、赤ちゃんが骨盤に入り込む>
出産直前〜分娩の初めには、
赤ちゃんが骨盤内に入り込んできます。
このときの仙腸関節は
仙骨はカウンターニューテーション
腸骨翼は広がり坐骨間が近づく
という状態。
赤ちゃんが入りやすいように
骨盤の上方開口部を開くためです。
<2、赤ちゃんは頭の向きを変える>
赤ちゃんは頭の向きを変えながら
産道を通過してきます。
狭い骨産道を通り抜けるためです。
頭の向きを左右どちらかに向け
↓
ここから分娩ラストに向けて
仙骨の方向に顔の向きを変えます
<3、分娩の最終段階へ>
赤ちゃんの頭の向きが仙骨の方向に向き
固定されると、いよいよ分娩の最終段階。
赤ちゃんが通り抜けるために
骨盤の下方を開く必要が出てきます。
このときの仙腸関節は
仙骨はニューテーション
腸骨翼は接近し、坐骨間が広がる
という状態。
ここの仙骨の動きが
分娩時にはとっっっても大事。
ちなみに赤ちゃんは、
坐骨間を通り抜けて生まれてくるときには
顎を引くような感じで頭の先っぽを出して
そこから回旋しながら生まれてきます。
この知識をどう活かす?
◆ 妊婦さんへの運動指導
基本的にお産は自然の力で起こるし、
陣痛が痛すぎて骨盤の動きをコントロールする
余裕なんて微塵もありません・・(笑)
これはエビデンスがある訳ではないのですが。
出産が近い妊婦さんにはこんな運動はどうでしょう!
<目的>
赤ちゃんが骨盤内に降りやすいように
仙骨のカウンターニューテーションを出す
<運動>
● 起立筋群のタイトネスを和らげる
● 腰椎後弯、仙骨カウンターニューテーション
● 股関節外旋可動域を広げておく
◆ 産後のママへの運動指導
先ほどお話ししたように、
出産後にはホルモン分泌は産前のようになり
恥骨結合距離も数日で閉じます。
仙腸関節の可動性も基本的に同様です。
しかし、
出産時に会陰切開などでダメージを受ける
骨盤底筋群と妊娠中に筋力の低下しやすい
腹横筋のトレーニングは出産後、
絶対に必要になります。
<骨盤底筋群>
収縮することで、
仙骨をカウンターニューテーションさせ
坐骨間の距離を縮める働きをします。
<腹横筋>
収縮することで仙腸関節の圧縮力を高めます。
インナーユニットとして体幹部の安定性に関与します
骨盤底筋群エクササイズ
■骨盤底筋エクササイズの前準備
・骨盤をニュートラルポジションへ。
・腹式呼吸の練習をする
最初から腹式呼吸と合わせて骨盤底筋群を収縮させるのは難しい
■骨盤底筋群の場所や動きを理解してもらう
骨盤底筋群は小さな筋肉で収縮を感じるのが難しいので、「どこに付いていて」「どう収縮するのか」について理解しておいてもらうと結果が出やすい
■骨盤底筋群が弛緩できるか確認する
吸気のタイミングで会陰が下方へ降りてくるかを触診する
腹式呼吸のときの胸郭の動き、腹部の動きも
評価しておくと骨盤底筋エクササイズが
うまく進みやすいです。
詳細はコチラの記事をどうぞ!!
腹横筋エクササイズ
背臥位 膝立て位で腹式呼吸を用いながら
腹横筋・骨盤底筋群の共同収縮を促します。
・呼気時に骨盤底を下に押し出すような力の入り方になっていないか
・下腹部が膨隆するような力の入り方になっていないか
・腰部や下肢、頸部などに力が入りすぎていないか
という部分もしっかりと確認していきます。
こうなっているとインナーユニットが上手に使用できていません。
背臥位で腹横筋や骨盤底筋群の収縮の理解・内省が
行えたら端座位→立位へと移っていきます。
各姿勢で収縮感覚が掴めたら、
・上肢のリーチ運動
・骨盤ー股関節を連動させた運動
・体幹の回旋運動
などに移行していきます。
さて!
今日もここまでお読みくださりありがとうございました♡