骨粗鬆症って病院やクリニックで働いていると
本当によく耳にするワードですよね。
高齢女性に特に多いイメージですが、
実は、産前産後の女性も罹患リスクが高いのです。
また、骨粗鬆症に悩む方は年々増えていて、現在 日本で1200万人(男300万人、女1000万人)が罹患しており、毎年100万人ずつ増加していると言われています。
骨折のリスク因子でもあり、私たちの職域から
切っても切り離せないテーマですよね。
今日はそんな骨粗鬆症についてまとめました♡
骨粗鬆症とは
【定義】
低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし
骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である
WHO
これを踏まえて。
診断基準はコチラ↓
脆弱性骨折がある場合
■ 椎体、または大腿骨近位部の骨折
■ その他の脆弱性骨折があり、骨密度がYAMの80%未満
脆弱性骨折がない場合
骨密度がYAMの70%以下、または―2.5SD(標準偏差)以下
(YAM : 若年成人平均値(腰椎/20∼44歳、大腿骨近位部/20∼29歳)
測定方法としてDXA法、超音波法、
MD法などがありますが、
クリニックでもDXA(デキサ)を
導入しているところが多いですよね。
妊娠中の女性はX線を照射できないので
超音波法(足を突っ込むやつ)で検査します。
高齢女性に骨粗鬆症が多い理由
■ 女性は男性と比べ最大骨量が25%低い
■ 骨量維持に重要な女性ホルモンが閉経を期に急減少する
閉経すると、女性ホルモンの一つである
エストロゲンの分泌が急激に減少します。
エストロゲンは、骨の新陳代謝の際に骨吸収をゆるやかにして骨からカルシウムが溶けだすのを抑制する働きがあります。
そのため、閉経後にはエストロゲンの減少に伴い急激な骨密度の低下が起こってしまうのです。
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と、
ここまでは、学校でも習う内容……
ではなぜ妊娠出産でも骨密度の低下が起こるのでしょう?
妊産婦さんが骨粗鬆症になりやすいのはなんで?
大きな原因は4つ。
妊娠後期から母体から胎児への
カルシウム供給が始まる。
母体から生成される母乳には
1日平均220mgのカルシウムが含まれる
ホルモンバランスの変化で
骨吸収が促進される
胎盤娩出に伴い、
母体へのカルシウムの再吸収が減少する
まとめると…
胎児の骨を作るために、お母さんの体から
カルシウムをたくさん赤ちゃんに送っている!
↓
胎盤がお母さんにカルシウムを再吸収させる
働きをしているけど、出産を機に胎盤が
なくなるのでそれもできなくなる。
↓
さらに、カルシウムをたっぷり含んだ
母乳をあげるのでお母さんの
骨密度は減少傾向に陥ってしまう。
授乳期間と骨密度
個人差はありますが、
授乳中は無月経の状態が続きます。
通常は授乳が終了し生理が再開した後は
母体の骨密度も次第に回復していきます。
(出産後に妊娠前の骨密度に回復するには19ヶ月を要したとの報告もあります)
授乳期間が長くなるほど生理停止期間も長くなり、骨密度低下状態を招きやすくなる可能性があるのです。
妊娠後骨粗鬆症の70%は初産時に発症し、産後6か月間の授乳で骨密度が5%前後低下、産後6カ月以上の無月経は産後骨粗鬆症のリスクと言われています。
骨粗鬆症の予防
日本人女性は18〜20歳ごろに最大骨量となり
それ以降は閉経までの間はほぼ一定を保ちます。
なので思春期にできるだけ最大骨量を上げておくことが大切です。
それ以降も、
カルシウム、ビタミンDの接種
禁煙、過度な飲酒の制限
適切な運動習慣
が大切になってきます。
運動と骨密度
大腿骨近位部の骨密度改善
ジョギング、ダンス、ジャンプなどの高強度運動腰椎の骨密度改善
ウォーキングや太極拳などの低強度運動
妊娠中、産後の方はいきなり高強度運動を取り入れると骨盤底の弱化から尿失禁などのマイナートラブルのリスクになりかねないので、まずは低強度の運動と産後の体ケアから行うことがおすすめです。
妊娠後期〜授乳期間は、
無理のない範囲で意識的に屋外で散歩、
自宅ではインナーマッスルのエクササイズ
みたいな運動ができるといいですね✦ฺ
参考文献
妊娠後骨粗鬆症により多発椎体骨折をきたした2例
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/68/4/68_656/_pdf
理学療法士のためのウィメンズヘルス運動療法 2017
今日もお読みくださりありがとうございました✦ฺ